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カタクリはあまり文学・古詩に縁はないのですが、何かの折に自分の琴線触れる言葉にめぐり合うことがあります。
この言葉もその中の一つです。これは許渾という唐の時代の詩人の律詩の一節です。
この詩は彼が北方、黄河の上流の渭水にかつて秦の始皇帝が都をおいた咸陽に行ったときに作ったものです。
・・・・時のうつろい、無常観に心惹かれます。
許渾(咸陽城の東楼にて)
ひとたび高城に上れば万里の愁い
蒹葭・楊柳、汀・洲に似たり
渓雲 初めて起こり 日は閣に沈む
山雨来たらんと欲して、風楼に満つ
鳥は緑蕪に下りぬ 秦苑の夕べ
蝉は黄葉に鳴く 漢宮の秋
行人問う莫れ 当年の時を
故き国は 東来す 渭水の流れに
高い城壁に上ってみると、はるか万里の彼方まで寂しさが一杯だ
葦が一面に茂っている中に柳が幾つか立っているのは、
平原の中の岸辺や中洲のようだ
そんな時、雲は谷間に湧き、日は西の寺の屋根に沈んでいく
山間に降るにわか雨が押し寄せようとして、二階はつめたい風をはらむ
それを知った鳥達は緑の平原に舞い降りるが、そこは昔の秦の宮園
力のない蝉の声が、色づきはじめた木のしげみからもれてくるが、
そこは昔漢の宮殿があったところ
とはいえ、道行く人よ、当時の栄華のことは聞かないで欲しい
昔の国の面影は、この渭水に影をうつしてはるか東へ流れ行くのだから
2005 Mar. 11
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